ロハス企業を目指すマクド+ルドからスローな提案

今回の九州出張でこの出来事は全くと言ってよいほど重要ではなく
また、特定の企業や思想を誹謗中傷するものではないことを
ご理解の上お読み下さい。


そして、今回のは長いです。


さて、非常に有意義だった九州出張を終え博多から帰ることに。
お昼時にはまだ早い中途半端な時間だったこともあり、
飲食街もあまり営業しているところもなかった。


どうしたものかと、うろうろしているとマクド+ルド。
時代に逆流する決断でジャンクフード界から
大いなる喝采を浴びた「超メタボバーガー」で
一世を風靡したあのチェーン店である。


店に入る。
朝のメニューから通常メニューへの
切り替え時間だったらしく、僕の前のお客さんには
「朝のメニューにされますか、通常のメニューにされますか」と
スマイルで問うていた。


その時点ではまだそんなにお客さんもいなかったが
僕が入ったタイミングで3つあるレジ全てに客が並ぶ。
定員は厨房に男性1名、レジと商品準備に女性2名。
そこへおそらくその時間からシフトに入ったと思われる
見習いの女性1名の合計4名。


繁忙時間帯のスタート。
男性は基本的に厨房作業。
3つのレジを2名の女性店員で対応。
僕は真ん中のレジで
「ダブル千ーズバーガーセットをホットコーヒーで
砂糖とミルクはいりません。」右隣の客も何やらセットもの。


見ると、ポテトは全く揚がっていない。
厨房にオーダーを通す。
取りあえず僕の目の前に置かれたトレーには
ホットコーヒーを置く。


うんうん、なかなか合理的な動きだ。
「お会計は××円になります。」
僕がお金を準備している間に、レジの女性(A)がポテトを揚げに行く。
あれ?機械の調子が悪いのかタイマーが動かないのか
操作パネルをぐりぐり押してるぞ。


少し時間がかかりそうと思ったのか、
(A)は見習い女性(C)にレジへ行くように指示。


その間に僕の右隣の客の注文が厨房へ回され、
そのレジ担当女性(B)も、商品準備のためにレジを離れる。


さて、(C)は可愛そうに
空いたレジ3つのどこへ行けば良いのか判らずうろうろ。
どうやら、こんな状況はマニュアルには載っていなかったのだろう。
僕が目で(C)に訴える。
「誰も対応していないお客さんの注文を受け、
商品を待ってもらってる間に僕の会計を済ませればいいんだ!」
テレパシーを送るのに力が入り過ぎたのか、
(C)は僕のレジに来てしまい、
「えーっと、お会計は××円になります。」
知ってるよ、知ってる!
左隣に入った女性客からの「はよせんかい、コラァ!」のオーラに
びくびくしながらお金を払う。お釣りを貰う。


(C)はそこで自分がすべき作業がわからず不安になったようで
厨房に引っ込む。左隣の女性の対応はほったらかし。
もちろん他の客も全てほったらかし。


それに気付いた(A)は、「あそこ行って」と(C)に指示。
ところが、そのレジに立ったもののどこまで作業が済んでいるのか
理解できないらしく固まってしまう。
(A)と(B)は自分の作業でばたばたしている。

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何も教えられずに、バイトに入らされたのであろう女性を見て僕は思った。
マクド+ルドはある事に気付き生まれ変わろうとしているのだと。


これまでマニュアル一辺倒で、
人を人と見ず機械のように扱い、効率と時短を追い求めた方法が
これから増加するであろうスローライフロハスに興味がある
知識層・高所得者層には向かないこと。


アルバイトと言え人間である。
その人の持ち味を殺す教育はやめよう、
人を育てるには現場で実践させようと。

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色々考えているうちにかなりの時間がたった。
僕のトレーにはフタがされているものの、コーヒーは置きっぱなし。
そこへなぜか(B)がポテトを持ってくる。
そして、順番札を置いて
「出来たての温かいものをお持ちしますので少々お待ち下さい。」
いいよ、いいよ。ゆっくりしてくれて。


トレーを持って席へつく。

コーヒーを飲む。
程よい温度だ。猫舌の僕にも飲みやすい温度まで下がってる。

ポテトを食べる。
塩が全くかかっていない!!

……そうか、マクド+ルドは変わろうとしているんだった。
おそらく素材の味を大切にするようになったんだな。


コーヒーもポテトもほぼ終わるという頃に
「お待たせしました」とダブル千ーズバーガーが(C)によって運ばれてくる。
懐石料理やフレンチのようなタイミングを目指した提供なのだろうが
これまでに長年培った企業風土はなかなか変えられないらしく、少しまだ早い。
そして順番札はトレーにまだ残されたまま。


温かいダブル千ーズバーガーを食べながら店舗外に目をやると
明らかに本部から視察に来たと思われる、男性2人と女性1人。
こそこそ話をしながら、ちまちまとメモをして首をかしげている。


いきなりの変革に本部の人間もついて来れてないのだろう。
マニュアル化できない独特な人の動き。
今回、僕は女性店員3人に対応してもらった。
ほんの数百円の商品を提供するのに
3人で1人の客に対応するなんて贅沢なことである。


本部の人間も外から偉そうに指示をするのではなく
店に入ることでこの新しい試みに参加し、
きちんとお客様には対応する必要がある。
これではマクド+ルドが立派なロハス企業になるには
もう少し時間がかかるのではないかと思った。
大変なことなのだろうが、細かいところから努力が必要だ。


しかしマクド+ルドはこうやって成長を続けるのだろう。



……あー、すっとした。